レビー小体型認知症の治療

監修:筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授 水上 勝義 先生

レビー小体型認知症の治療は、他の認知症と同様に非薬物療法がすすめられています。
また、非薬物療法と同時に薬物療法がすすめられる場合もあります。

非薬物療法① 脳を刺激する

非薬物療法には回想法、認知機能訓練、運動療法、音楽療法などがあり、患者さんの性格、好み、症状などを考慮した方法が選ばれます。「快い刺激(楽しい時間の共有)」を与えることで、生活能力の維持・向上につながる脳の活性化が期待されます。

回想法

回想法

思い出を話したり、語り合ったりすることで、患者さんのもっとも充実していた時代や幸せな記憶を追体験して記憶を強化し、人格や気分を安定させる目的で行われます。

認知機能訓練

認知機能訓練

パズルやトランプ、計算などを楽しんで行うことで脳内の情報処理能力を刺激します。

運動療法

運動機能、認知機能、感情など日常生活行動の改善、社会性・社交性の向上、自律神経症状の改善を主な目的に行われます。全身運動によって血流をよくしたり、筋肉から刺激を与えたりすることで脳の活性化が期待されます。患者さん個人の身体能力に応じて、座ってできる運動やストレッチ、ウォーキングやマシンを使った運動などが選ばれます。

運動療法

音楽療法

音楽療法

懐かしい音楽を聴いたり、演奏したりすることで脳へ刺激を与え、精神を安定させます。

非薬物療法によって日中に活動したり、太陽光を浴びたりすることで日内リズムを整える効果も期待されます。

非薬物療法② 住環境を整える

幻視・誤認やパーキンソン症状は患者さんの不安を強め、転倒によるけがの原因となりえます。住環境を整えることで幻視や誤認、転倒の危険性を減らすことができます。

部屋を明るくする

部屋を明るくする

誤認の原因になりやすい衣類などをしまう

誤認の原因になりやすい衣類などをしまう

コードをまとめる、床に物を置かない、段差を解消する、 床がぬれたらふく、手すりや照明をつける など

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コードをまとめる、床に物を置かない、段差を解消する、床がぬれたらふく、手すりや照明をつける など

その他の非薬物療法

話を聞く

周囲の人がびっくりするような行動も、患者さん本人にとっては意味がある行動です。なぜそうしたのか話を聞き、その原因を一緒に解決することで安心できると落ち着きを取り戻します。

便秘・脱水予防

繊維質の多い食事や、十分な水分補給を心がけます。

薬物療法

薬物療法

レビー小体型認知症にはさまざまな症状があり、患者さんが特に困っている症状を抑えるための薬が処方されます。そのため、どの薬を処方されるかは、患者さんによって異なっています。

症状によっては複数の薬を服用したり、服用量を調整したりする必要があります。最適な薬物療法を行うために、服用方法を守り、体調や気持ちに何らかの変化があった場合は主治医あるいは薬剤師にお話しください。

薬物療法を行ううえで大切なこと

薬物療法を行ううえで大切なこと
  • 困っている症状を正しく伝える

    少しでも気になることは、必ず主治医にお話しください。ちょっとした気持ちの変化などにも症状が隠されている可能性があります。

患者さんご自身では気がつきにくい症状もあります。可能であれば、ご家族や介助の方にも話してもらいましょう。

薬物療法を行ううえで大切なこと
  • 服用方法を守る

    薬は正しく服用してこそ効果が期待できます。主治医または薬剤師から習った服用方法をお守りください。
    服用していて気になることや不安なこと、体調や気持ちに変化などありましたら、必ず主治医または薬剤師にご相談ください。

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