糖尿病について

監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生

糖尿病とは、慢性的に血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状況が続いている病気です。

ヒトの全身の臓器はブドウ糖をエネルギー源として機能を維持しており、そのブドウ糖の量は1日500gにもなります。

糖尿病でない人は、夜間は肝臓がブドウ糖を放出し、脳をはじめとした全身臓器がそのブドウ糖を利用するので、睡眠中は何も食べていなくても血糖値は下がらず正常域です。
一方、食事を摂ると、炭水化物が腸でブドウ糖に分解され、血液中に吸収され肝臓に流入します。ブドウ糖の大半が肝臓に取り込まれます。肝臓を通り過ぎたブドウ糖により、全身の血糖値が少々上昇しますが、そのブドウ糖も筋肉などに取り込まれ、血液中のブドウ糖が減り、速やかに正常血糖値に戻ります。

このように、血糖値を緻密に制御しているのが、膵臓が血糖値に応じて分泌するインスリンです。インスリンが、肝臓へのブドウ糖の取り込み、ブドウ糖の放出、筋肉などへのブドウ糖の取り込みなどを調整しています。
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増えたままの状態(高血糖)になってしまう病気で、1型と2型があります。1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が、壊されてしまう病気で、β細胞からインスリンがほとんど出なくなることが多く、治療にインスリン製剤を使います。 世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われています。 

2型糖尿病では、過食や身体活動量低下が続くなどして、余分な脂肪が肝臓や筋肉に留まり、インスリンの働きが低下して、全身臓器がブドウ糖を取り込まなくなる状況になり、膵臓はインスリン分泌を増やして対応しようとしますが、この状況が続くと疲労してインスリンを分泌できなくなります。このため、ブドウ糖が血液中にだぶついてきます。

高血糖とは、このような状況を指し、高血糖状態が長く続くのが糖尿病です。
糖尿病と診断されたら、速やかに治療を受け、正しい食事の摂り方、身体活動を増やす方法などを学び、血糖値をよくするようにしましょう。このコンテンツでは、2型糖尿病について情報を提供しています。

糖尿病とは

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